締切りギリギリに提出されたり、昔書いた文章をそのまま提出されたり、他の選考対策よりも雑に扱われやすいエントリーシート(以下、ES)。
とりあえず書き上げて提出に間に合わせることに目がいきがちなESにおいて、「どのように書けば評価されるのか」を意識できている就活生は少ないのではないでしょうか。
上記のような疑問を抱える就活生に向けて、この記事ではエントリーシートにおいて評価されるポイントや書く上でのコツを紹介します。
普段仕事でマーケティング(主にコミュニケーションプランニング)に携わっている筆者が解説するので、ある程度参考になるはずです。そうであって欲しい。
ESにおける評価ポイントとコツ
ESにおける評価ポイントは主に下記3点です。
- まともな文章が書けているか
- 企業が求めている素養を盛り込めているか
- 「お?」と気になるポイントをつくれているか
①まともな文章が書けているか
ESにおける評価ポイント1つ目は「まともな文章が書けているかどうか」です。言い換えるならば「ビジネスレベルの日本語能力を持ち合わせているか」ということ。
社会人になると学生以上に「文面」でのやりとりが重要となります。たとえば得意先とのメールでのやりとり・社内に共有する会議の議事録・新規提案のためのプレゼン資料など。
こうした文面でのやりとりでは「正しい日本語が使えていること」はもちろん、相手にとって自分の意見や事実をいかにわかりやすく伝えられるかが求められるものです。
だからこそ、ESでは「まともな文章が書けるかどうか」が見られていると。
誤字脱字がないか、「てにをは」や接続詞を正しく使えているか、論理的な文章が書けているかどうかなど、意識的にチェックをすることが大事です。
一番簡単でおすすめなのは「PREP」のフレームワークにのせて書くこと。
- Point(結論・要点)
- Reason(理由)
- Example(具体例)
- Point(結論・要点※繰り返し)
PREPとだけ言われてもイメージがつかないと思うので、「学生時代頑張ったこと」の回答例をつかって解説します。
(Point)コールセンターでのアルバイト経験です。(Reason)私が「頑張った」と胸を張って言える理由は、「クレーム対応効率化タスクへの尽力」これに尽きます。(Example)バイト入社当初はお客様からのクレームにただただたじろぎ、心をすり減らす日々でした。1つのクレーム対応に3時間かかり、何も解決できないままシフトを上がったこともあります。ただ、このままではいけないと対応策を考えるうちに、「**に鍵があるのでは」と気がつくことができました。その結果、日々実践するなかで徐々にではありますがクレーム対応時間を他スタッフよりも早くこなせるように。再現性あるものにするため「クレーム処理のキモ」を作った結果、社員の目に留まりバイトのマニュアル作成を任されたことがあります。(Point)この経験を通して私の弱みであった**を克服できたことから、コールセンターでのアルバイトは「頑張った」と胸を張って言うことができます。
経験が嘘っぽいのはさておき、結論から理由・具体例と掘り下げていくことによってわかりやすい内容になっているのではないでしょうか。ただダラダラと経験を話されるよりも「要点はこれ!なぜなら〜」と掘り下げる方が、まず話の全体像を相手に掴んでもらうことができます。
採用シーズンの人事・採用担当者はもうヘトヘト。そんなヘトヘトな状態のときに「伝えたいことが理解しづらいES」をわざわざじっくり読み込むなんてことをするでしょうか。間違いなく即座に不採用BOXにいれられることでしょう。
ヘトヘト状態の人事が流し読みでも理解できるような論理的でわかりやすい文章を書くためにも「PREP」を意識して書くことをおすすめします。
②企業が求めている素養を盛り込めているか
ESにおける評価ポイント2つ目は「企業が求めている素養を盛り込めているか」。
倍率があまり高くない企業であれば先に紹介した「まともな文章が書けているか」だけでも十分ですが、倍率の高い人気企業を受ける方は特に意識しておきたいところです。
ダメではないのですが不十分です。
企業としては採用HPなどに掲載している「求める人材像」に合致した新卒学生が欲しいので、「その素養、ちゃんと持ち合わせていますよ〜」とアピールをする必要があります。
応募する全ての企業にあわせて書き換えるのは面倒なのでおすすめはしませんが、第一志望軍の企業についてはちゃんと書き分けた方が良いです。結構企業によって求める人材は違うので。参考までの総合商社各社の求める人材を比べてみましょう。
三菱商事採用HPより
三菱商事は、経営人材が育つ会社を目指しています。経営人材とは、経営マインドをもって事業価値向上にコミットする人材です。経営人材に大切な3つの能力があります。1つ目は、内外環境の変化を想定し先を見据えた戦略を練り上げる「構想力」。2つ目は、人と組織を牽引し最後までやり抜く「実行力」。そして3つ目は、謙虚さと誠実さを持って周囲から信頼される「高い倫理観」です。多様な経験や不断の自己研鑽を通じて、自らもこれらの能力を備え、経営人材になることを志す人材を求めます。
伊藤忠商事採用HPより
新たな仲間を探す一期一会の採用活動の中で、私たちは
自分の信念をツラぬき、口だけではなく行動で示す人、
常識や固定概念を壊し、道なき道を切り拓く人、
アオくさくて笑われてしまうような、でっかい夢に情熱を燃やせる人に
出会いたいと思っています。
「実行力」に関しては各社共通して求めているかと思いますが、書き方のトンマナなどが結構違いますよね。同じ総合商社といえど、三菱商事は「高い倫理観」、伊藤忠商事は「でっかい夢に情熱もやせる人」など、それぞれ独特なキーフレーズがありますよね。
こうしたキーフレーズをきちんとチェックし、ESにその素養が感じられるような書き方にしてあげることで企業側としても安心してESを通過させることができます。
企業の公式採用HPをきちんとチェックして、何が求められているのかを把握し、ESに落とし込むことも意識するとよいでしょう。
③「お?」と気になるポイントをつくれているか
ESにおける評価ポイント3つ目は「『お?』と気になるポイントをつくれているか」。
「企業が求めている素養」を直接的に、淡々と記載するのも悪くはないですが、「ぜひとも面接で話を聞いてみたい!」と思わせるような文章の方が尚良いです。
単に「私は組織を牽引する力があります」と書くのはストレートですが、キャッチーさにはかけますよね。なんとなく面接でどんな話が展開されるのかも想像がつきますし、ESを見ている側としてはワクワクしません。
面接に呼びたくなる、思わず通したくなるようなESとは「頭に残るキーフレーズがある」「完璧には説明されておらず、まだハテナが残されている」ようなもの。こうした点を意識して試しに嘘のESを書いてみました。
学生時代頑張ったことは「最終防波堤」と通り名までつけられていたカフェでのアルバイトです。「①どんな厄介なクレーマーでも、私がいれば対処できたこと」「②どんなに店舗が混雑し店員が混乱していても、私がレジに入れば沈静化できたこと」の二点からこのように呼ばれていました。①については・・・(具体例)。②については・・・(具体例)。上記の経験を通して「最終防波堤」のような通り名を拝命できた経験は間違いなく私が自信を持って語れる経験の一つです。
まだまだ荒いですが、ありきたりのESと比較するとちょっとだけ頭に残るではないでしょうか。淡々と「私が頑張ったことはカフェのバイトリーダーです」みたいな話をされるよりは目を引く文章になっているかと思います。
採用・面接担当は何百・何千もの同じようなESをみており、一般的なESに対しては「はいはいこのパターンね」と思ってしまうものです。正直、学生時代に経験できることなんてたかがしれているので同じパターンになるのは仕方ないことなのですが、書き方を少しでも変えるだけで埋もれないESになるはず。
自分自身の経験にキャッチコピーをつけてみる、熱い思いを書き連ねてみるなど、あなた自身の独自性や人間性がESから伝わることを意識して書いてみてくださいね。
上記のような「キャッチコピー」以外にも興味を抱かれたり、話のフックになる表現は複数あります。たとえば「特別な思いがあり〜」という表現や「どうしもない状況」などなど。
文字数制限で詳細は書けていないけれど、なにか意図を感じられる・つい聞きたくなるような曖昧な表現を散りばめておくと面接官は気になるものです。
こうした「話のフック」を用意しておくことでそこから自分の得意パターンに面接を誘導することもできるので、フック作りを意識したESの設計にするとよいでしょう。
コツを押さえたうえでESを書いてみよう
以上、この記事では選考におけるESのポイントと書き方のコツについて解説してきました。
コツをおさえたらあとは書くだけ。ESは何度も何度も書き直しているうちに良い文章になっていくものですので、うんうん悩まずまずは書き始め徐々にブラッシュアップしてきましょう。
それでは。